2014年第3四半期のインテル決算が発表されました。売上高は前年同期比7.9%増の146億ドルで過去最高を記録しており、アナリストの事前予想を上回る内容となっています。今回は決算内容から見える「ものづくり」ビジネスの難しさや面白さを考えてみたいと思います。
事前予想を上回る良い決算内容
米半導体大手インテルの2014年7月から9月期の決算概要は以下の通りです。
インテル7-9月(第3四半期)決算概要
売上高:146億ドル
純利益:33億2000万ドル
1株当たり純利益:66セント
粗利益率:65%
売上高は前年同期比7.9%増、純利益も前年同期の29億5000万ドルから12%増加で非常に好調と言って良いでしょう。背景としては、売上高がパソコン用プロセッサー部門が8%増で安定し、サーバー向けチップ部門も16%増と高成長を維持できた事が挙げられます。
モバイル分野は苦戦だが市場拡大の恩恵は享受
一方ビジネスセグメント別に細かく見ると、少々異なった景色が見えてきます。特にモバイル・コミュニケーション部門の売上高は100万ドルと、前年同期の3億5300万ドルから大きく落ち込みました。営業損益も10億4000万ドルの赤字と、赤字幅は前年同期の8億1000万ドルから拡大しています。
スマホ・タブレット市場への食い込みは、10年以上にわたる開発努力や多額の投資にもかかわらず成果が上がっていない事が指摘されており、一部のアナリストからは同分野から完全撤退した方が良いという意見もあるほどです。
確かに、スマホ・タブレット部門のビジネスは表面的には上手くいっていないと言えますが、同分野の市場拡大の恩恵を、しっかりと享受できている点を見逃してはなりません。モバイルコンピューティング需要の急増は、通信やデータセンターを始めとするインフラ側の需要拡大も招いていますので、同社のサーバー向けチップ部門などの好調を支えています。つまり、スマホやタブレットは普段手に取るデバイスですので非常に目立ちますが、ネットワークの先にあるサービスを運営するサーバ側も、モバイルデバイスの市場拡大と共に成長し市場が拡大しているのです。
まとめ
成長する市場に対して直接的に参入するのではなく、付随して成長が見込まれる2次3次分野にフォーカスするのも良いビジネス・ストラテジである事が判ります。おそらくモバイル分野のデバイスに比べてサーバー向けチップの方が粗利も稼げるので、インテル社の例では、同社の得意分野から考えても当然の結果と考えられます。
ところで、インテル社が苦戦しているモバイル部門で大きなシェアを占めているのが英国のARM社となります。同社のCortex-Mシリーズは、組み込み分野でも、じわじわとシェアを拡大していますので、マイコンの開発方法を紹介している本サイトでも、インテルコアよりARMコアを取り上げる機会が多いと思います。LPCXpressoを始めとする手軽な開発環境も多いので、興味を持たれた方は、是非とも、「LPCXpressoのページ」もご覧ください。
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