組み込み向けマイコンにおいても、ARMコアの採用が進んでいますが、主要マイコンベンダーのARMコア製品のリリース時期を調べてみると面白い事が判ります。
主要各社のARMコア製品リリース時期
各社のARMコア汎用マイコン製品のリリース時期は、次の様になっています。
2002年
Atmel(米)
NXP Semiconductors(オランダ)
2004年
STMicroelectronics(伊仏)
2008年
東芝(日)
2011年
Freescale(米)
富士通セミコンダクター(日)/Spansion(米 Spansionに事業売却)
2012年
Infineon Technologies(独)
2013年
ルネサス(日)
特に32bit品においては、ARMの普及率が非常に高いという傾向があります。現時点では、大手でARMコアの製品ラインナップを持たないのは、米Michrochipのみとなっています。
今日の強みが明日の弱みとなりうる時代
こうしてみると、自社開発のCPUコアが少なかったメーカーが積極採用した傾向が非常に良く判ります。NXPsemiconductorやSTMicroelectronicsは、この波に乗って成功した代表格と言って良いでしょう。逆にFreescaleやルネサスは、ARMコア製品の市場投入が遅れてしまいました。比較的に強いコアを有していた企業の対応が後手に回ってしまったのは皮肉な話かもしれません。
Cortex-Mシリーズの市場拡大は急ピッチで進んでおり、一般民生に留まらず自動車分野などにも急速に広がっていますので、今後この影響は、じわじわと現れてくると考えられます。
CPUコアで差別化をする時代の終焉
マイコン分野におけるビジネスのポイントは、もはやCPUコアではなくアプリケーションにあった周辺機能や開発環境およびソフトウエア資産の充実や移植性になりつつあります。ARMコアの普及は、今後この傾向に更に拍車をかけていく事でしょう。本サイトで紹介している低コストな開発環境の登場も、これらの動きと決して無関係ではありません。以前は高額な開発環境も珍しくありませんでしたが、参入障壁を低くする事が有効な拡販手段の一つであると認識しているメーカーが増えてきた事の現れでしょう。
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