2014年10月31日、DMM.comは、ハードウェアスタートアップ向けの開発や検証を行う施設 DMM.make AKIBAの開設を発表しました。
easy laboでは、これまで「ものづくり」の為のインキュベーション施設を紹介してきましたが、DMM.make AKIBAは、その中でも施設の規模、設備の充実度で群を抜いており、日本はもとより世界規模で見ても有数の「ものづくり」の拠点となる見込みです。
DMM.make AKIBAの概要
DMM.make AKIBAは、富士ソフト秋葉原ビルの10階から12階の3フロアにあり、2014年11月11日の開設です。最新の機材設備の費用は5億円、施設全体の総投資額は10億円に上ると言われており、コンセプトである「ハードウェアスタートアップを志すすべての方々の拠点」は、単なるキャッチコピーではなく実力の伴った超本格的インキュベーション施設となっています。
DMM.make AKIBAは、大きく次の3つの施設で構成されています。
DMM.make AKIBA Studio(624.57平方m)
試作品の開発はもとより、PSE、EMC、技適等の各種認証向けプリテストまで、ハードウェア開発に必要な設備を集約した開発拠点です。
DMM.make AKIBA Base(1,134平方m)
開発の為のオフィスやイベントスペースで、フリーアドレスエリアに加えて個室エリアも提供しています。もちろん法人登記や所在表記、郵便受け取り等、ビジネス面のバックアップにも対応可能です。
DMM.make AKIBA Hub(354.15平方m)
ハードウェアを開発・販売するにあたって相談をしたい、という利用者向けにコンサルティングを行なう窓口です。
既に、ネット家電メーカーのCerevoとベンチャー企業への投資を行うABBALabが同施設に入居する事が決まっています。設備機材の導入はCerevoが監修していますし、資金調達やビジネス面のアドバイスは、ABBALabがサポートできますので、設備とサポート環境の両面において申し分ないでしょう。
DMM.make AKIBAの利用料金
これほど大規模で、充実した設備を有するDMM.make AKIBAのですが、やはり利用コストが気になるところです。施設利用は会員制のみで、料金はStudioのみ1名利用で月額1万5000円(初期費用3万円)。Baseとあわせて利用する場合は月額3万円(初期費用6万円)となっています。
【Baseのみ利用】
FreeAddress(自由席)
初期費用:¥40,000
月額:¥20,000
TeamRoom3(3名個室)
初期費用:¥240,000
月額:¥120,000
TeamRoom6(6名個室)
初期費用:¥480,000
月額:¥240,000
備考:TeamRoom契約者はStudioも月額料金内で利用可能。
【Studioのみ利用】
初期費用:¥30,000
月額:¥15,000
備考:機材によっては別料金が必要。
【BaseとStudio両方を利用】
初期費用:¥60,000
月額:¥30,000
備考:Base利用はFreeAddressのみ。
なお、TeamRoomの利用は事前面談が必要になるとの事です。
ハードウエアスタートアップにとっては「夢の設備」
さて、監修を手がけたCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏が「こんな設備が日本にほしかったと思える機材がそろっている」と評する設備は、次の様な機材が導入される予定です。
導入予定機材(一部抜粋)
【01 Works】
3軸マシニングセンタ
5軸マシニングセンタ
ボール盤
旋盤
フライス盤
サンドブラスト
バンドソー
レーザーカッター
熱衝撃試験機
恒温恒湿試験機
梱包振動試験機
飛沫防水試験設備
耐圧潜水試験設備(水深30m)
電波暗室
荷重破壊試験機
【02 Design】
3DCAD
CAE
CAM
3Dプリンター
大判プリンター
カッティングマシン
【05 PCBA】
0402対応 半田自動印刷機
0402対応 自動実装機
半田リフロー炉
X線検査装置
QFN/BGA リワークマシン
【07 Sewing】
ミシン(工業用、ロックミシン等)
UVプリンター
【09 Circuit】
回路CAD
オシロスコープ
ネットワークアナライザ
USBアナライザ
ベクトルシグナルジェネレータ
AC/DC電子負荷
安定化電源
データロガー
実体顕微鏡
【10 Measurement】
雷サージ発生器
スペクトラムアナライザ
サーモグラフィ
周波数特性分析器
静電気試験設備
EMC プレ試験設備
HDMI試験設備
2.4Ghz/5Ghz技適プレ試験設備
サーモカメラ
【12 Silk screen】
デジタル製版機
シルクスクリーンプリント機
【13 Casting】
真空注型機
【14 Painting】
塗装ブース
量産化とビジネスを意識したDMM.make AKIBA
今まで、easy laboで取り上げてきたインキュベーション施設との最大の違いは、量産一歩手前の最終試作まで、認証試験なども含めて対応できる設備とバックアップ体制を完備している点が挙げられます。恒温恒湿や水圧試験といった、量産や検証試験に必要な機材まで揃えている事は、単にラボを提供するだけではなく、ハードウェアのベンチャービジネスを、ここからテイクオフさせたいという目標の現れでしょう。
DMM.make AKIBAは、まさに秋葉原に出現した研究・試作工場です。大きな成果を得るまでは時間を要するかも知れませんが、この様に日本においても「ものづくり」スタートアップの環境が徐々に整いつつあります。
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