前回の記事では、CNC工作で使用するソフトウエアについて取り上げました。CNC工作機は、CNC制御ソフトウエアにNCコードを読み込ませて動作させますが、今回は、このNCコードの基本について説明していきたいと思います。
NCコード
CNC制御ソフトウエアで読み込むデータ形式がNCコードである事は、以前の記事などで説明した通りです。NCコードは、NCプログラムあるいは、Gコードとも呼ばれます。NCコード中では、良くGコードという命令が使用されるので、その様な呼ばれ方もされます。
NCコードは、バイナリ形式ではなくテキスト形式のファイルなので、テキスト・エディタでも閲覧編集が可能です。通常は、CAMソフトウエアで出力されるので、自ら編集する必要はありませんが、工作機の仕様によっては、多少マニュアルで調整したい場合もあるので、基本事項を理解しておくと便利です。
NCコードのワードとブロック
NCコードの構成単位は、ワードでアドレスと数値の組み合わせです。ワードは1行内に複数記述する事が出来、行の終わりを’;’(エンドオブブロック)で指定します。この一行がブロックと呼ばれます。
ワードとブロックの構成
アドレス + 数値 → ワード
ワード1 ワード2 … ワードN ; → ブロック
コメントなど
NCコードで使用するコメントなどを下表にまとめておきます。
NCコードで使用する記号
記号 | 内容 |
---|---|
% | データスタート/エンド |
; | EOB(エンドオブブロック) |
(コメント) | 注釈 |
#変数名 | 変数 |
% データスタート/エンド
最初の%はプログラムのスタートで、2つ目に読み込んだ%はプログラムのエンドとなります。なお、M02、M30等でプログラムのエンドとし、次のブロックをスタートと判断し%を使用しないCNCもあります。
また、データスタートの次のブロックに記述される数値は、プログラム番号となります。
; EOB(エンドオブブロック)
ブロックの終了を意味します。PCの改行コードが自動的に’;’に変換されるCNCもあるので仕様を確認しましょう。
(コメント) 注釈
コメントです。基本的に半角文字を使用した方が良いです。
#変数名 変数
変数となりますが、CNC装置によって多少扱いが違う可能性があります。
NCコードの主要アドレス
NCコードで使用する主要なアドレスをまとめておきます。
主要アドレス
アドレス | 機能 |
---|---|
O | プログラム番号 |
N | シーケンス番号 |
G | 準備機能 |
X Y Z | 各座標軸の座標語 |
R | 座標語,円弧の半径 |
I J K | 座標語,円弧の中心座標 |
F | 送り速度 |
S | 主軸回転数 |
M | 補助機能 |
T | 工具番号 |
H D | オフセット番号 |
O プログラム番号
プログラム番号あるいはプログラム名です。
N シーケンス番号
プログラムを見やすくするための番号で、それ自体に意味はありません。GOTOのラベル等にも使用されます。
G 準備機能
直線補間や円弧補間などを行うアドレスで、最も頻繁に使用されGコードと呼ばれます。
X Y Z 各軸に対応した座標語
座標語で、各軸に対応した座標または距離となります。
R 円弧の半径
座標語で、円弧の半径を表します。
I J K 円弧の中心座標
座標語で、円弧の中心を表します。
F 送り速度
単位はmm/minで、切削送り速度を指定します。
S 主軸回転数
単位はrpmで、回転数の設定が行えます。CNC加工機が対応している必要があります。
M 補助機能
軸の回転や停止など機械の特殊動作を行います。Mコードとも呼ばれます。
T 工具番号
ATC(オートツールチェンジャ)を装備した設備であれば、”T”+”数値”で対応する工具を選択する事ができます。指定後に、M06を記述すると実際の工具交換が行われます。
H D オフセット番号
オフセットの番号です。
NCコードに使用する主要Gコード
NCコードで良く使用する主要Gコードをまとめておきます。
主要Gコード
ワード | 機能名 |
---|---|
G00 | 位置決め |
G01 | 直線補間 |
G02 | 円弧補間(時計回り) |
G03 | 円弧補間(反時計回り) |
G90 | アブソリュート指令 |
G91 | インクリメンタル指令 |
G92 | ワーク座標系の変更 |
G00 位置決め
機械の持つ最高速度で指定座標へ早送りします。
G01 直線補間
現在の設定速度で、指定座標まで直線切削送りします。
G02 円弧補間(時計回り)
現在の設定速度で、指定座標まで時計回りで円弧切削送りします。
G03 円弧補間(反時計回り)
現在の設定速度で、指定座標まで反時計回りで円弧切削送りします。
G90 アブソリュート指令
以後の座標語は絶対値指定になります。
G91 インクリメンタル指令
以後の座標語は相対値指定になります。
G92 ワーク座標系の変更
現在位置を指定の座標に設定します。
NCコードで使用する主要Mコード
NCコードで使用する主要Mコードをまとめておきます。
主要Mコード
ワード | 機能名 |
---|---|
M02 | エンドオブプログラム |
M03 | 主軸正回転 |
M05 | 主軸停止 |
M08 | クーラントON |
M09 | クーラントOFF |
M30 | エンドオブプログラム |
M02 エンドオブプログラム
プログラムの停止です。
M03 主軸正回転
現在設定の主軸回転数で主軸回転数Sパラメータが設定されていないと回転しません。
M05 主軸停止
主軸を停止します。
M08 クーラントON
切削油を供給開始します。
M09 クーラントOFF
切削油を供給停止します。
M30 エンドオブプログラム
プログラムの停止です。
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