「ものづくり」におけるラピット・プロトタイピングの有効性

ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)とは、敏速な開発を目的とした試作手法で、一般的には、3Dプリンターなどを活用した文字通り迅速(Rapid)な試作品の開発を指します。

広義のラピッドプロトタイピング

easy laboでは、ラピッドプロトタイピングの定義を3Dプリンター等を活用した形状見本の試作だけでなく、「オープンソース系ハードやフリーあるいは低価格の設計ツールおよび3Dプリンター等を駆使して、より実際の最終製品に近い機能を有した試作品を迅速かつ低コストで開発する手法」と定義したいと思います。

「ものづくり」と水平分業化

従来の「ものづくり」における製品開発の流れは、次の様なものでした。

(1)概念設計・商品企画
製品のコンセプトを決める概念設計(コンセプト・デザイン)や商品の企画、ビジネスプランの策定などを行い、製品として試作開発を行うかを決定します。
(2)試作開発
設計、試作、評価を何サイクルか繰り返し、製品のクオリティを高めます。目標に到達した後、最終的に信頼性など量産化の為の評価を行います。
(3)量産製造
量産品の製造ラインを整備して製品の製造を開始します。
(4)販売
完成した商品を販売します。

このような「ものづくり」の流れは基本的には変わっていませんが、近年の大きな特徴としては、外部の協力会社への依存(外注)の割合が大きくなっている点でしょう。まず最初に、生産ラインを製造委託会社(EMS)へ移す動きが始まりました。この依存度が100%近い場合は、いわゆるファイブレス企業と呼ばれます。次に試作開発における作業全体も外注が増加し、現在では設計協力会社や技術系の派遣会社の協力がなければ、開発の現場が成り立たなくなっています。
全てを社内のリソースでまかなう垂直統合型の「ものづくり」から、水平分業型の製品開発が主流となって来ています。例えば、米Apple社は、企画や製品コンセプトおよび設計は行いますが、製品の製造は外部に委託しています。一方で自社製品を造らず製造委託サービスに特化した台湾や中国系の企業も多数存在する訳です。

水平分業化時代のラピッドプロトタイピング活用法

水平分業化の時代においては、概念設計(コンセプト・デザイン)や商品企画がより重要になります。何故なら製造委託会社(EMS)へ製造工程のメインが移ると、この部分での差別化は色々な意味において難しくなってくるからです。競合メーカーも同じような製造委託会社で製造している訳ですから、成功の鍵は、独創性のある優れた商品を企画して迅速に製品化するノウハウが握る事になります。
この様な時代、概念設計や商品企画時におけるラピッド・プロトタイピングは、実に有効な手法と言えます。最終製品に近い試作サンプルを早い段階で作る事によるメリットをまとめてみます。

ラピッド・プロトタイピングのメリット
(1) より実践的で確度の高い企画や計画を立てる事ができる。
(2) 技術を始めとする課題が具体的に把握できる。
(3) 実際の使用感なども、ある程度確認できる。

本サイトは、この広義のラピッド・プロトタイピングにおける具体的なノウハウを提供していく事で、創造型「ものづくり」の発展に貢献していきたいと思います。

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