近い将来、実現が予想される技術の一つとして、車の自動運転が挙げられます。今回は、この車の自動運転がもたらす社会変化について考えてみたいと思います。
車の自動運転の開発状況
この分野では、米IT企業のGoogleが2010年から開発に着手して先行しています。地球12周分に相当する48万キロメートル以上の走行実績を持っており、実現に必要な基本技術は既に確立されています。Googleは、自動運転車の販売時期を明らかにしていませんが、2017年頃との見方が主流です。一方、自動車メーカーでは、日産自動車が、2020年頃に自動運転車を投入すると表明しています。その他の企業でも公表されてはいませんが、水面下で調査研究が行われている可能性があり、東京五輪が開催される2020年前後には、自動運転車が町で見られる様になるかも知れません。
車の自動運転の課題
この様に車の自動運転については、基本技術は確立されており完成度を高めている段階と認識して良いでしょう。つまり課題は、公道を自動運転の車両が走る為の法整備など技術以外の面に多く残されています。
日本でも2013年11月、トヨタ、日産、ホンダの国内大手3社が、自動運転車の試乗会に安倍晋三首相を招きました。これは自動運転に対応する規制緩和の働き掛けの一環と見られています。また世界規模で見ると、公道での試験走行の合法化では、米カリフォルニア州やネバダ州が先行しています。
車の自動運転がもたらす社会変化
さて法整備が順調に進み自動運転車が普及すると、どの様な変化が社会に生じるでしょうか? 例えばスマートフォンで、最寄りの集車場に停車中の車や付近を自動運転している車を自分の居場所へ迎えに来させるような利用ができる様になった場合を想像してみましょう。もちろんタクシー業界などは大きな影響を受けるでしょうが、より本質的には、この様な利用が広まると、自動車は個人や企業で所有する「モノ」というより、利用する「サービス」であるという概念が広まっていくでしょう。これは大きなビジネスチャンスである反面、長年の自動車産業のビジネス環境を根底から覆す可能性があり、その点が既存の自動車メーカーを慎重に行動させている最大の理由と思われます。
その他、社会的な影響で大きなものとしては、万が一事故が起こった時の対応が挙げれます。保険会社などは大きな影響を受けると思われますが、おそらく飛行機のフライト・レコーダーの様な、運転履歴をシステムに記録する装置の設置が車に義務付けられると考えらます。またシステムとしての側面を強めた車がハッキングされる事態や、犯罪やテロへ利用されるリスクも高まる事も十分に予想されます。
まとめ
車の自動運転は、自動車を所有するモノからサービスに変えていく可能性があります。より公共性の高いものとなりシェアして利用するイメージでしょうか。その様な変化が現実となった時、21世紀中に登場した技術の中でも社会に最も大きな影響を与えた技術として人々に記憶される事になるかも知れません。
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