LTspice入門:Mac版でのデジタル素子によるシミュレーション

LTspice Mac版で、ロジック・ゲートを使用したデジタル・シミュレーションを行う方法を解説します。

ロジック・シンボルの種類

LTspiceには、次表に示す16種類のロジック・ゲートのシンボルが用意されています。

SymbolDescription
andBehavioral AND gate
bufBehavioral buffer with complementary outputs
buf1Behavioral buffer
counterBehavioral counter
dflopBehavioral D-flipflop
diffschmittBehavioral Schmitt-Triggered Buffer with Complementary Output and Differential Input
diffschmtbufBehavioral Schmitt-Triggered Buffer with Differential Input
diffschmtinvBehavioral Schmitt-Triggered inverter with Differential Input
invBehavioral Inverter
orBehavioral OR gate with Complementary Outputs
phidetBehavioral Type 3/4 Phase Detector (Phase/Frequency Detector). Note: Limit input rise times
schmittBehavioral Schmitt-Triggered buffer with complementary outputs
schmtbufBehavioral Schmitt-Triggered buffer
shmitinvBehavioral Schmitt-Triggered inverter
srflopBehavioral Set-Reset Flipflop
xorBehavioral XOR gate

これだけあれば、小規模のデジタル回路ならば容易に対応できます。

ロジック・シンボルのパラメータ

ロジック・ゲートのシンボルには、基本的に以下のパラメータが用意されています。

ParameterDefault ValueDescription
Vhign1Logic high level
Vlow0Logic low level
Trise0Rise time
TfallTriseFall time
Tau0Output EC time constant
Cout0Output capatitance
Rout1Output impedance
RhighRoutLogic high level impeance
RlowRoutLogic low level impedancde
Td0Propagation delay
Ref0.5*(Vhigh+Vlow)Input Logic threshold
Vt0.5*(Vhigh+Vlow)Schmitt Input trip point
Vh0.1Schmitt Input hysteresis(one side)

Trise、Tfall、Td等の遅延タイミングに関するものや、Vt等のロジック入力のレベル判定閾値に関するパラメータの設定が可能です。

ロジックシンボルの応用例

上記のロジック・ゲートを用いてシミュレーション解析を行ってみましょう。回路図で右クリック→Draft→Componentを選択して部品選択のメニューを表示させます。Select Component Symbolの[Digital]を選択します。

(Rignt Click→Draft→Component: Digital)
digital_sim_mac_1

ロジック・ゲートのシンボル一覧が表示されます。

(Digital Components)
digital_sim_mac_2

通常の素子と同じ様に回路を作成します。

(Example)
digital_sim_mac_3

シンボルを右クリックするとAttribute Editorが表示されるので、パラメータの設定を記述します。ここでは、Vhigh=5、Td=5nに設定しています。

(A1 Settings)
digital_sim_mac_4

Vis.にチェックを入れれば、回路図上にパラメータが表示されます。

(A2 Settings)
digital_sim_mac_5

シミュレーションに使用する回路を完成させ、シミュレーション解析を実行します。

(Simulation Results)
digital_sim_mac_6

通常の回路と同じ様に、シミュレーションの結果を確認する事ができます。

COM端子と入力信号の処理

ロジック・ゲートを使用したシミュレーション回路では、COM端子と未使用の入力端子の処理に注意が必要です。以下に処理方法をまとめておきます。

COM端子の位置
4入力以下のシンボル:左下角に配置された端子。
5入力のシンボル:左下角の入力端子の直ぐ右隣に配置された端子。

COM端子の処理
通常GNDに接続しておきます。

不使用の入力端子の処理
通常COM端子に接続しておきます。

注意事項
入力端子をCOM(GND)に接続しても、入力の論理レベルが”L”と解釈される訳ではありません。入力を”L”にしたい場合は、別途用意したVt以下の電圧ノード(例えば0V設定の電源)に接続する必要があるので、注意しましょう。
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