CEATEC JAPANの地位低下とノーベル物理学賞

今週は、気になるニュースが2つあったので、取り上げてみたいと思います。ひとつは、10月7日からCEATEC JAPAN 2014が開催された事で、もう一つは、日本人3氏がノーベル物理学賞を受賞した事です。

CEATEG JAPANの地位低下

出展者数が前年比7%減の547社/団体との事です。CEATECは、いわば技術の祭典ですが、近年盛り上がりに欠け、また国際的に見るとドイツの家電見本市(IFA)や米のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)に比べ見劣りする感が拭えません。エレクトロニクス関連の仕事に関わっている方は、車業界ほど円安のメリットを享受できていないと感じている方も多いのではないでしょうか。それはさておき、技術分野としては、ウエアラブルデバイス、M2M、ロボット、カーエレクトロニクス関連技術あたりが、やはり注目されいる様です。

LED研究者の3氏がノーベル物理学賞を受賞

明るいニュースとしては、やはり今年のノーベル物理学賞を赤崎勇・名城大教授(85)と天野浩・名古屋大教授(54)、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)の3氏が、LED研究でノーベル物理学賞を受賞した事でしょう。これらの研究は、80年末から90年中頃まで行われたもので、それ以降、青色やそれらを応用した白色LEDは世の中に普及しました。赤崎氏と天野氏は、1989年、窒化ガリウの半導体で青色LEDの作製に成功し、中村氏は日亜化学工業研究員時代の1990年代前半に、製造製法を発展させました。日亜化学工業は、この分野では現在でもトップランナーですが、韓国や台湾のライバル企業が台頭してきており、国別のシェアは日・韓・台中で拮抗しつつあります。長年独走し続けるという事は、やはり難しい時代なのかも知れません。

技術は世の中をゆっくりと変える

青色LEDに黄色の蛍光体をかぶせる事で白色LEDを作る事ができます。白色LEDは液晶のバックライトに用いられ、携帯電話や液晶テレビに不可欠な部品の一つです。大型の液晶テレビに至っては、1台あたり数100から1000個ものLEDが使用されます。また日本では今は珍しくないLED照明も、12兆円以上と言われる世界の照明市場での普及が見込まれます。やはり技術は人々の生活に、ゆっくりかも知れませんが、大きな影響を与えうる事を実感できます。
さて、ノーベル賞を受賞した中村氏の講演を1990年後半に拝聴した際、日本の技術者、研究者の地位の低さを嘆いておられた事を記憶しています。この点だけは、あまり変化していないのかも知れません。米国の大学で研究されている中村氏から見て、現在の日本は果たしてどの様に映るのでしょうか。

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