SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)は、電子回路のシミュレーションを行えるシミュレーション・ソフトウエアで、1973年、カルフォルニア大学バークレイ校(University of California, Berkeley)で、その原型が開発されました。
SPICEの概要
カリフォルニア大学バークレイ校で開発されたオリジナルのSPICE(Berkeley SPICE)は、テキストベースのソフトウエアで、以下の入力情報から様々な回路シミュレーションを実行します。
1)回路素子の結線情報であるSPICE Netlist
2)SPICEのシミュレーション用コマンドなど記載する、SPICE Directive
3)素子の特性を記述したModel Library
Berkeley SPICEでは、受動素子、能動素子、伝送線および電源で構成されたアナログ回路について、過渡解析、直流解析、小信号交流解析、雑音解析等を行う事ができます。
SPICEの歴史
1973年に開発されたSPICEは、その後も発展を続け、1975年に、SPICE2、1981年に、SPICE2G.6がリリースされました。このSPICE2G.6は、主な商用ソフトウエアのベースとなっています。その後、フォートランで記述されていたプログラムをC言語に移植したSPICE3が、1985年に発表された後、最終版SPICE3fでカリフォルニア大学バークレイ校での開発は終了しました。
SPICE自体は、回路シミュレーションの計算エンジンとも言えますが、現在では、使いやすい様に回路図エディタやシミュレーション結果を表示する波形ビューワとセットなった使いやすいソフトウエアが数多くリリースされています。それらの間には、種類によって多少異なる「方言」の様な部分もあり、具体的な回路計算アルゴリズムも様々なものが存在しています。
Berkeley SPICEとその派生ソフトウエア
今日、オリジナルであるBerkeley SPICEとその派生ソフトウエアの多くを入手する事ができ、無償のものでは、下記のものがあります。
・SPICE3G: The Spice Page, UC Berkeley
・ngspice: Official HP
・Qucas: Official HP
・LTspice: Linear Technology
なお商用で有名なものとしては、シノプシス社のHSPICE、ケイデンス・デザイン・システムズ社のPSpice、シルバコ社のSmartSPice等が挙げられます。
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