Arduinoの商用利用

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オープンソース・ハードウエアのArduinoですが、商用利用する際に注意すべき事を、今回整理してみます。

なお、easy laboでは、Arduinoのページに、Arduinoに関する情報をまとめていますので、そちらも是非ご参照下さい。

ハードウエアの利用

Arduino製品の設計データはオープンソースで公開されています。例えば、Arduino UNO R3は、次のリンク先からEagle CADの設計データを入手する事が出来ます。

Arduino: Products/Arduino UNO

その他、過去の製品も以下のリンク先から、同じように設計データの入手が可能です。

Arduino: Products/Hardware Index

Arduinoのハードウエアのライセンスは、Creative Commons Attribution Share-Alike license(CC-BY-SA)です。なおクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons License)については、記事「Creative Commonsライセンスの概要」を参照して下さい。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの詳しい説明は、この記事に譲りますが、結論としては、公開されている設計データを利用して、似たような製品を作る事が許されており、個人的な利用だけでなく商用利用も可能です。

実際の利用例としては、次の様なケースが考えられます。

(1)設計データから、全く同じ製品を作る。
(2)設計データから、変更を加えた類似製品を作る。
(2-A)回路が全く同じで、アートワークパターンの違う製品を作る。
(2-B)回路を変更し、アートワーク設計も行い製品を作る。

商用利用の際、注意しなければならない点は、設計データ(Eagleファイル)を元に製品を製造した場合は、同じCC-BY-SAで設計データを開示する義務が生じる点でしょう。

以上は、ハードウエア製造に限定した話で、ファームウエアを書き込む場合は、次節以降の様な検討も必要になります。なお、Arduinoの回路自体は、非常にオーソドックスな回路ですので、Eagleファイルのデータを流用した場合以外は、日本および諸外国の著作権法上の判断は、別の結果となる可能性(派生品とはみなされない可能性)もあります。

Arduino IDEの利用

Arduinoの開発環境である、Arduino IDEもオープンソースソフトウエアです。Javaでコーディングされており、GPLでライセンスされています。GPLについては、記事「GPLの概要」で扱っていますので、そちらを参照して下さい。

Arduino Core/Libraryの利用

ArduinoのAtmel AVRマイコン用のコアやライブラリは、C/C++でコーディングされていて、この部分はLGPLでライセンスされています。なおLGPLについては、記事「LGPLの概要」で扱っていますので、そちらも是非ご参照ください。

LGPLの規約に従うと、コアやライブラリを利用した場合、次の様な対応をとる必要があります。

(1)オリジナルなコードについては、ソースコードを開示する必要はない。
(2)Arduinoのコア/ライブラリに変更を加えた場合は、LGPLでソースコードを公開する義務が生じる。
(3)オリジナルなコードの部分もリンク可能なオブジェクト・ファイルを公開する必要がある。

念のため、Arduinoの公式ページのFAQにある原文を転載しておきます。

Using the Arduino core and libraries for the firmware of a commercial product does not require you to release the source code for the firmware. The LGPL does, however, require you to make available object files that allow for the relinking of the firmware against updated versions of the Arduino core and libraries. Any modifications to the core and libraries must be released under the LGPL.

なお上記は、Arduino開発元の一般的な見解ですので、商用利用の場合は、自社製品のファームウエア構成等も考慮して最終的な判断を行う必要があります。組み込み機器の場合は、判断が少々難しくなりますので、法務部門を交えて対応を協議する必要があるでしょう。詳しくは、記事「LGPLの概要」で扱っていますので、そちらを参照して下さい。

USB VID

Arduinoで使われているソフトウェアのうち、次の部分には、USBのVID(ベンダーID)が含まれており、ファームウエアを、そのまま使用する事は出来ません。

(A)USBシリアル変換のためにUSB機能付きAtmel AVRマイコンが使用されている製品のファームウエア
Arduino Uno等が該当し、Arduino UNO基板に実装されているATmega16U2が、この対象です。

(B)メインのマイコンにUSB機能付きの物を採用している製品のブートローダ
Arduino Leonardo、Arduino Micro等が該当し、Leonardo、Microの場合は、ATmega32U4となります。

VIDは、USBフォーラムが発行し、Arduino製造メーカーが費用を負担して取得したものです。他の企業や個人等が流用する事は出来ません。従って、USBフォーラムに申し込んで、自分用のVIDを発行してもらう事が必要となりますが、有償でかなりの費用が発生します。以上の点を考慮するとArduino互換のハードウエアを製造する場合は、USBシリアル変換ICを使用していた過去のモデル(例えばArduino Duemilanove)をベースにした方が良いと考えらます。これらの製品の設計データは、次のリンクから入手可能です。

Arduino: Products/Hardware Index

商標やボードの名称

“Arduino”は登録商標(イタリア、米国、日本他)である為、第三者が使うことができません。

対の様ような名称はNGです。

Arduino ◯◯◯◯◯
◯◯◯◯◯ Arduino
Arduino Compatible ◯◯◯◯◯

代わりに以下のような名称を使うよう推奨されています。

◯◯◯◯◯ for Arduino
◯◯◯◯◯ (Arduino Compatible)

その他の注意事項

以上、Arduinoの商用利用時に注意すべき事を一通り見てきましたが、自分で使用するリソース全てがArduino開発元から提供されているとは限りませんので、次の項目についても調査しなければなりません。

(1)ライブラリ
実際にリンクして使用するライブラリについては、ヘッダーファイル、ソースコード、Redemeファイルなどを確認してライセンス形態を確認しておく必要があります。

(2)サードパーティーの提供するリソース
サードパーティーの提供するシールド等のハードウエア、付属のライブラリやスケッチなどについては、ライセンス形態を確認しておく必要があります。

→その他のArduino関連情報

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